新築の窓は性能が重要!断熱・種類・配置で失敗しない窓選びを解説
新築の家づくりでは、間取りやデザインに目が行きがちですが、実は「窓選び」が住み心地を大きく左右する重要なポイントです。
窓の性能や配置を深く考えずに決めてしまうと、「冬は寒くて夏は暑い家」や「結露に悩まされる家」になってしまい、後から失敗したと感じる方も少なくありません。
快適で省エネな暮らしを実現するためには、窓の断熱性や種類ごとの特徴を理解し、適切な選び方をすることが大切です。
この記事では、後悔しないための窓の選び方について、基本から分かりやすく解説していきます。
目次
- 【なぜ新築住宅で窓の性能が重要視されるのか】
・家の断熱性は窓の性能で大きく変わる
・性能の低い窓は光熱費が高くなる原因に
・結露の発生を抑えて家の劣化を防ぐ
- 【窓の基本性能を決定づける3つの重要パーツ】
・サッシの種類ごとの特徴と断熱性の比較
・ガラスの枚数やコーティングで変わる性能
・断熱性を左右するスペーサーの種類と役割
- 【高性能な窓を新築に採用する4つのメリット】
・一年を通して快適な室温を維持できる
・冷暖房の効率が向上し電気代の節約につながる
・不快な結露の発生を大幅に抑制できる
・外の騒音が入りにくく、静かな室内環境が手に入る
- 【高性能な窓を選ぶ前に知っておきたい注意点】
・一般的な窓に比べて初期費用が高くなる
・ガラスの枚数が増えると窓本体の重量が増す
- 【目的別|新築でよく使われる窓の種類と特徴】
・最もポピュラーで開閉しやすい「引き違い窓」
・気密性に優れ効率的に換気できる「滑り出し窓」
・採光や眺望を重視する場合に最適な「FIX窓」
・デザイン性が高く防犯面にも配慮された「上げ下げ窓」
- 【方角別|快適な暮らしを実現する窓配置のポイント】
・朝の心地いい光が入り込む東側
・夏の強い日差しを考慮すべき西側
・自然光を多く取り入れる南側
・安定した明るさを確保できる北側
- 【まとめ】
【なぜ新築住宅で窓の性能が重要視されるのか】
新築住宅を建てるとき、窓の性能は住まいの快適性や経済性を決める上で非常に大切な役割を担っています。
単に光を取り入れたり、景色を眺めたりするだけでなく、家の断熱性や光熱費、さらには建物の寿命にも深く関わっているからです。
性能の低い窓を選んでしまうと、せっかくの新築なのに住み始めてから様々な不満が出てくる可能性があります。
それではなぜ窓の性能がそれほどまでに重要なのか、具体的な理由を3つのポイントに分けて見ていきましょう。
家の断熱性は窓の性能で大きく変わる

家の快適さを考える上で、断熱性能は欠かせない要素です。
実は、家の中から熱が逃げたり、外から熱が入ってきたりする割合が最も大きい場所は「窓」だということをご存知でしょうか。
冬の暖房時、室内の熱の約6割は窓から逃げていき、夏の冷房時には、外の熱気の約7割が窓から侵入してきます。
つまり、いくら壁や天井に高性能な断熱材を使っても、窓の断熱性が低いと、そこが熱の通り道となり、家全体が「冬は寒い、夏は暑い」状態になってしまうのです。
断熱性の高い窓を選ぶことは、一年を通して快適な室温を保つための第一歩と言えます。
【関連記事】UA値とは?家の断熱性能や断熱等級の基準をわかりやすく解説します
性能の低い窓は光熱費が高くなる原因に

窓の断熱性が低いということは、冷暖房で快適にした室内の空気がすぐに外に逃げてしまうことを意味します。
そうなると、快適な温度を保つためにエアコンを常に強く稼働させなければならず、結果として毎月の光熱費が高くなってしまいます。
高性能な窓は、一般的な窓に比べて初期費用は高くなる傾向にありますが、住み始めてからの光熱費を大幅に抑えることが可能です。
長い目で見れば、月々の電気代の差額が初期費用の差を上回ることも珍しくありません。
家計の負担を減らし、経済的に暮らしていくためにも、窓の性能はとても重要なのです。
結露の発生を抑えて家の劣化を防ぐ

冬場に窓ガラスの結露に悩まされた経験はありませんか。
結露は室内の暖かい空気が冷たい窓ガラスに触れることで発生します。
この結露を放置すると見た目が不快なだけでなく、カビやダニが繁殖する原因となり、アレルギーなどの健康被害を引き起こす可能性も。
さらに、水分が窓枠や壁の内部に染み込んでしまうと木材が腐食し、家の構造自体を傷めてしまうことにもつながりかねません。
断熱性の高い窓は外の冷たさが室内に伝わりにくいため、窓の表面温度が下がりにくく、結露の発生を大幅に抑えることができます。
【窓の基本性能を決定づける3つの重要パーツ】
一口に「窓」と言っても、その性能はいくつかのパーツの組み合わせによって決まります。
見た目が似ていても、使われている素材や構造が違うだけで、断熱性や気密性は大きく変わってくるのです。
窓の性能を理解するためには、主に「サッシ」「ガラス」「スペーサー」という3つの重要なパーツについて知っておく必要があります。
これらのパーツがそれぞれどのような役割を持っているのか、そしてどんな種類があるのかを知ることで、カタログの数値をただ眺めるだけでなく、自分たちの家に本当に必要な窓を見極められるようになります。
サッシの種類ごとの特徴と断熱性の比較

サッシとは、ガラスの周りにある窓枠のことです。
この部分の素材によって、窓の断熱性能は大きく左右されます。
現在、主流となっている窓サッシには、主に「アルミ」「樹脂」「アルミ樹脂複合」「木」の4種類があります。
これらの特徴を比較し、予算や求める性能に合わせて選ぶことが重要です。
◆アルミ
アルミサッシは、比較的安価で耐久性に優れている点が大きなメリットです。
しかし、熱を伝えやすい素材であるため、断熱性は他のサッシと比較して低めになります。
そのため、夏の暑さや冬の寒さが室内に伝わりやすく、冷暖房の効率が下がり、光熱費が高くなる可能性があります。
また、結露が発生しやすいといったデメリットもあります。
◆樹脂
樹脂サッシは、熱が伝わりにくいため、非常に高い断熱性能を持つことが最大のメリットです。
外気の影響を受けにくく、室内の温度を快適に保つことができます。
これにより、冬の寒さや夏の暑さを和らげ、年間を通して快適な室温を維持することにつながります。
また、結露の発生を抑える効果も期待できるため、カビやダニの繁殖を防ぎ、健康的な住環境を維持するのにも役立ちます。
断熱性を重視する方には特におすすめのサッシです。
◆アルミ樹脂複合
アルミ樹脂複合サッシは、屋外側に耐久性の高いアルミを、室内側に断熱性の高い樹脂を組み合わせた、両方の良いところ取りをしたタイプです。
このサッシは、アルミの強度と樹脂の断熱性を兼ね備えているため、日本の気候にとても適しています。
特に屋外側のアルミは雨風に強く、美しい外観を保つことにつながります。
◆木
木製サッシは、熱伝導率が低いため高い断熱性能を持っており、木の持つ風合いや温かみが魅力です。
しかし、他のサッシに比べて価格が高くなる傾向があり、また定期的な塗装や防腐処理などのメンテナンスが必要となります。
自然素材ならではのメリットとデメリットを理解した上で検討することが大切です。
ガラスの枚数やコーティングで変わる性能

窓の大部分を占めるガラスも、性能を決定づける重要な要素です。
ガラスの性能は、主にガラスの枚数で変わります。
1枚だけの「単板ガラス」よりも、2枚のガラスの間に空気の層を作った「ペアガラス(複層ガラス)」、3枚の「トリプルガラス」の方が、空気層が熱の伝わりを妨げるため断熱性が高くなります。
この空気層には、乾燥した空気の代わりに、より断熱効果の高いアルゴンガスなどが封入されているものもあります。
さらに、ガラスの表面に特殊な金属膜をコーティングした「Low-Eガラス」という種類もあり、この膜は夏の日差しを反射し、冬は室内の暖かさを外に逃がさない効果があるため、断熱性能を格段に向上させます。
断熱性を左右するスペーサーの種類と役割

スペーサーは、ペアガラスやトリプルガラスにおいて、ガラスとガラスの隙間を一定に保つために使われる部材です。
あまり目立たないパーツですが、窓の断熱性能、特に結露の発生に大きく関わっています。
従来のスペーサーは熱を伝えやすいアルミ製が主流でしたが、このアルミ部分が外の冷たさを伝えてしまい(ヒートブリッジ現象)、窓の端から結露が発生する原因となっていました。
しかし最近では、熱を伝えにくい樹脂製のスペーサーが開発され、これを採用することで窓全体の断熱性能が向上し、結露のリスクを大幅に減らすことが可能です。
サッシやガラスだけでなく、このスペーサーの種類にも注目すると、より高性能な窓を選ぶことができます。
【高性能な窓を新築に採用する4つのメリット】
高性能な窓を新築の住まいに取り入れることは、単に最新の設備だからという理由だけではありません。
そこには、日々の暮らしをより豊かで快適にする、たくさんの具体的なメリットが存在します。
室温の快適性はもちろん、家計に優しい省エネ効果や、健康的な生活環境の維持など、その恩恵は多岐にわたります。
ここでは、最低限知っておきたい高性能な窓がもたらす4つの大きなメリットについて、一つひとつ詳しくご紹介します。
これらの利点を理解すれば、窓選びの重要性がより一層実感できるはずです。
一年を通して快適な室温を維持できる

高性能な窓の最大のメリットは、その優れた断熱性にあります。
外の暑さや寒さが室内に伝わりにくいため、夏は外の熱気をシャットアウトし、冬は室内の暖かい空気を外に逃がしません。
これにより、エアコンなどの冷暖房器具に過度に頼ることなく、一年を通して快適な室温を保ちやすくなります。
特に、リビングと廊下、部屋と部屋の間の温度差が少なくなるため、冬場に起こりやすいヒートショックのリスク軽減にもつながります。
家の中のどこにいても心地よく過ごせる環境は、家族みんなの健康と快適な暮らしの基盤となります。
冷暖房の効率が向上し電気代の節約につながる

高い断熱性能を持つ窓は、冷暖房の効率を格段にアップさせます。
一度快適な温度になった室内の空気が外に逃げにくいため、エアコンは少しの稼働でその温度を維持できます。
これは、エネルギーの無駄遣いを減らし、月々の電気代を節約することに直結します。
高性能な窓は初期費用こそ高くなりますが、長期的に見れば光熱費の削減によってその差額を回収できる可能性も十分にあります。
家はこれから何十年と住み続ける場所。
日々のランニングコストである光熱費を抑えられるのは、家計にとって非常に大きなメリットと言えるでしょう。
不快な結露の発生を大幅に抑制できる

冬の朝、窓がびっしょり濡れているという光景は、見た目が悪いだけでなく、カビやダニの温床にもなります。
高性能な窓、特に樹脂サッシや複層ガラスは、外の冷気が室内に伝わりにくいため、ガラスやサッシの表面が冷えにくく、結露の発生を大幅に抑えることができます。
これにより、結露を拭き取る手間が省けるのはもちろん、カビの発生を防いでアレルギーのリスクを低減し、家族の健康を守ることにもつながります。
また、結露による水分で窓枠やカーテン、壁紙などが傷むのを防ぎ、家を長持ちさせる効果も期待できます。
外の騒音が入りにくく、静かな室内環境が手に入る

断熱性の高い窓は、一般的に遮音性も期待できます。
特に、複数枚のガラスで構成される複層ガラスは、ガラス間の空気層が音の伝わりを和らげる効果があると考えられています。
この特性により、車の騒音や話し声などの外部の音が室内に入りにくくなり、静かで落ち着いた居住空間の実現に役立ちます。
ただし、防音・遮音性能には特定の限界があり、低音域においては単板ガラスよりも防音性能が劣る場合があることも指摘されています。
これは、同じ厚さのガラスを使用した複層ガラスで、音の振動がガラスを通過する際に増幅される「共鳴透過現象」が発生するためです。
※共鳴透過現象とは、複層ガラスの中空層がバネのように働き、特定の周波数でガラスが共鳴し、遮音性能が低下する現象。
そのため、交通量の多い道路に面している家や住宅が密集している地域など、高い遮音性能が求められる環境では、複層ガラスの中でも、異なる厚さのガラスを組み合わせた「異厚複層ガラス」や、二重サッシの採用がより効果的な防音対策となることがあります。
【高性能な窓を選ぶ前に知っておきたい注意点】

高性能な窓には、快適な暮らしを実現するためのメリットがたくさんありますが、良い面ばかりではありません。
導入を検討する際には、いくつか知っておくべき注意点も存在します。
特に、費用面や物理的な特性については、計画の初期段階で把握しておかないと、予算オーバーになったり、使い勝手で後悔したりといった失敗につながることも。
メリットとデメリットの両方をきちんと理解した上で、自分たちのライフスタイルや予算に合った最適な選択をすることが、満足のいく家づくりには不可欠です。
ここでは、主な注意点を2つ紹介します。
一般的な窓に比べて初期費用が高くなる
高性能な窓を選ぶ上で、最も大きなハードルとなるのが初期費用です。
樹脂サッシやトリプルガラスといった高性能な製品は、複雑な構造や高品質な素材を使用しているため、一般的なアルミサッシの単板ガラス窓に比べて価格が高くなる傾向があります。
家全体の窓を高性能なものにすると、その差額は数十万円以上になることも珍しくありません。
このコストをどう考えるかが重要ですが、長期的な光熱費の削減効果や、国や自治体が実施している省エネ住宅向けの補助金制度なども考慮に入れて、総合的に判断する必要があります。
予算と性能のバランスを、ハウスメーカーの担当者とよく相談しましょう。
ガラスの枚数が増えると窓本体の重量が増す

断熱性能を高めるために、ガラスの枚数をペアガラスからトリプルガラスにすると、当然ながら窓全体の重量も増します。
特に、リビングに設置するような大きな掃き出し窓の場合、この重さが日々の開け閉めの際に負担に感じられることがあります。
ショールームなどで実際に操作してみて、その重さや開閉のスムーズさを体感しておくことをおすすめします。
特に小さなお子様や、ご年配の方がいるご家庭では、毎日の使い勝手も重要な選択基準になります。
また、窓の重量が増すことで建物の構造にも影響を与える可能性があるため、設計段階から専門家としっかり相談することが大切です。

【目的別|新築でよく使われる窓の種類と特徴】
窓の性能はサッシやガラスのグレードで決まりますが、窓の「種類」によっても、その役割や使い勝手は大きく異なります。
光の取り入れ方、風の通り道、外観のデザインなど、どの種類の窓を選ぶかによって、部屋の雰囲気や快適さは全く違うものになります。
性能ランキングや人気ランキングも参考になりますが、最も大切なのは「その場所でどのように過ごしたいか」という目的に合わせて窓の種類を選ぶことです。
ここでは、新築住宅で採用されることが多い代表的な窓の種類を挙げ、それぞれの特徴やどんな場所に適しているかを解説します。
最もポピュラーで開閉しやすい「引き違い窓」

引き違い窓は、2枚の戸を左右にスライドさせて開閉する、日本の住宅で最も広く使われている窓です。
誰にとっても馴染み深く、操作が簡単で分かりやすいのが最大のメリット。
開ける幅を自由に調整できるため、少しだけ開けて換気したり、全開にして大きな荷物を出し入れしたりと、状況に応じた使い方ができます。
リビングの掃き出し窓や和室など、大きな開口部が欲しい場所によく採用されます。
ただし、構造上、他の窓の種類と比較すると気密性が若干劣る傾向があるため、性能を重視する場合は、サッシやガラスのグレードにこだわる必要があります。
気密性に優れ効率的に換気できる「滑り出し窓」

滑り出し窓は、ドアのように窓枠の縦または横を軸にして、外側に滑り出すように開く窓です。
縦方向に開く「縦滑り出し窓」と、横方向に開く「横滑り出し窓」があります。
この窓の特徴は、開いたガラス面が風をキャッチし、効率よく室内に風を取り込めること。
また、閉めるときにサッシに強く圧着される構造のため、引き違い窓に比べて気密性が高く、断熱性や遮音性にも優れています。
限られたスペースでも開閉しやすいため、キッチンやトイレ、洗面所、廊下といった場所でよく使われます。
デザイン性も高く、外観のアクセントとしても人気です。
採光や眺望を重視する場合に最適な「FIX窓」

FIX窓は「はめ殺し窓」とも呼ばれ、開閉することができない、壁に固定された窓です。
開閉のためのハンドルやレールといった機構がないため、他の窓に比べて気密性が非常に高く、断熱性能を最大限に活かすことができます。
また、窓枠を細く設計できるため、同じ大きさでもガラス面を広く取れ、より多くの光を取り入れたり、景色を絵画のように切り取ったりと、開放感のある空間を演出するのに最適です。
吹き抜けや階段の踊り場、景色の良いリビングなど、換気の必要はないけれど明るさや眺望が欲しい場所に設置されます。
デザイン性が高く防犯面にも配慮された「上げ下げ窓」

上げ下げ窓は、2枚のガラス戸を上下にスライドさせて開閉する窓です。
洋風の住宅デザインと相性が良く、外観をおしゃれに見せるアクセントとして人気があります。
上下の窓を少しずつ開けることで、下から新鮮な空気を取り込み、上から室内の暖かい空気を逃がすという、効率的な空気の循環が可能です。
また、外からスライドさせにくい構造になっているため、引き違い窓に比べて防犯性が高いというメリットもあります。
デザイン性と機能性を両立したい場合に適していますが、窓の外側の掃除がしにくい場合もあるため、その点は事前に確認しておくと良いでしょう。
【方角別|快適な暮らしを実現する窓配置のポイント】
どんなに高性能で素敵な窓を選んでも、それをどこに配置するかで、住み心地は大きく異なります。
時間とともに位置が変わり、季節によっても高さや日差しの強さが変化する太陽の動きを理解し、方角ごとの光の特性を活かした窓の配置計画を立てることが、自然のエネルギーをうまく利用した快適な暮らしを実現する鍵となります。
ここでは、東・西・南・北、それぞれの方角に窓を設置する際の基本的な考え方と、気をつけたいポイントを解説します。
朝の心地いい光が入り込む東側

東側は、一日の始まりである朝日が差し込む方角であり、午前中の安定した明るさを取り入れるのに最適です。
朝の光には、体内時計をリセットして心と体を活動モードに切り替える効果があると言われています。
そのため、寝室や、家族で朝食をとるダイニングなどに東向きの窓を設けると、気持ちの良い一日のスタートを切ることができます。
ただし、夏は朝早くから日差しが強くなるため、寝室に大きな窓を設ける場合は、遮光カーテンやブラインドを取り付けるなど、日差しをコントロールできる工夫をしておくと安眠を妨げません。
夏の強い日差しを考慮すべき西側

西側は、午後になると強い西日が差し込むため、窓の配置には最も注意が必要な方角です。
特に夏の西日は非常に強烈で、室温を急激に上昇させる最大の原因となります。
そのため、一般的に西側の窓はできるだけ小さくするか、数を減らすのがセオリーとされています。
もし西側に窓を設置する必要がある場合は、軒や庇を深くして日差しを遮ったり、遮熱性能の高いLow-Eガラスを採用したり、外付けのブラインドやすだれを活用するなどの対策が必須です。
西日対策を怠ると、夏の冷房費がかさむだけでなく、家具や床が日焼けで劣化する原因にもなります。
自然光を多く取り入れる南側

南側は、一日を通して安定した明るい光が差し込み、家づくりにおいて最も恵まれた方角と言えます。
また、家族が多くの時間を過ごすリビングを配置するのに最適で、窓の大きさを工夫することで、明るく開放的な空間を作ることができます。
特に冬場は、太陽の高度が低くなるため、暖かい日差しが部屋の奥まで届き、天然の暖房として室温を上げてくれます。
これを「日射取得」と呼び、暖房費の節約に大きく貢献します。
ただし、夏は日差しが強すぎるため、軒や庇を計画的に設けることで、夏の高い位置からの日差しは遮るといった工夫が重要です。
安定した明るさを確保できる北側

北側は南側とは対照的に直射日光がほとんど入らない方角です。
言い換えれば、一日を通して明るさが大きく変動しない、安定したやわらかな光が得られるのが特徴です。
そのため、強い日差しによる物の変色などを嫌う書斎や、アトリエ用の趣味の部屋などに向いています。
ただし、冬は太陽の熱を取り込むことができず、家の中で最も寒くなりやすい場所でもあります。
したがって北側に窓を設ける場合は、断熱性能が特に高いトリプルガラスを採用したり、窓の大きさを必要最小限にしたりといった配慮が欠かせません。
結露も発生しやすいため、高性能な窓を選ぶことがより重要になる方角です。
【まとめ】
新築の家づくりにおける窓選びは、デザインだけでなく、断熱性や気密性といった性能に着目することが、後悔しないための鍵となります。
窓は、サッシ・ガラス・スペーサーといったパーツの組み合わせで性能が決まり、快適で省エネな暮らしを実現するためには、これらの要素を理解することが不可欠です。
まずは、ハウスメーカーや工務店の標準仕様がどのような性能の窓なのかを確認し、必要に応じてグレードアップを検討しましょう。
各窓メーカーのショールームへ足を運び、実際の断熱効果や操作性を体感してみるのも良い方法です。
家が建ってから窓をリフォームするのは費用も手間もかかるため、新築という絶好の機会に、じっくりと検討することをおすすめします。
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