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ヌックとは?居心地のいい隠れ家のような空間のつくり方

はじめての家づくり 2025年7月31日 NEW

「ヌック」という言葉を聞いたことはありますか?

近年、家の中に居心地のいい隠れ家のような空間を求める人が増え、このヌックが注目されています。

この記事では、ヌックがどんな空間なのか、また、ヌックを設置するメリット・デメリットや、居心地をよくするポイントについて解説します。

ハーバーハウスの実例もご紹介しますので、家づくりの参考にぜひご覧ください。

目次

ヌックの概要

ヌックとは、家の中に設けられたこぢんまりとした空間を指します。

個室のように完全に仕切るのではなく、ゆるやかにゾーニングすることで、開放感を保ちながらも「おこもり感」のある場所をつくり出すのが特徴です。

そのヌックが持つ意味や、言葉の由来について詳しく見ていきましょう。

ヌックの定義

ヌックは「居心地の良いこぢんまりとした場所」を意味する言葉です。

英語の「Nook(隅、片隅)」という単語から来ており、語源はスコットランドの建築様式である「Ingle neuk(イングル・ヌーク)」だとされています。
イングル・ヌークとは、暖炉のそばに設けられた腰掛け部分を指していました。

現代の住宅では、リビングやダイニングの一角、階段下など、ちょっとしたスペースを活用してつくられることが多く、読書やお昼寝、趣味の時間など、様々な使い方ができるのがヌックの意味する空間です。

家族のつながりにおけるヌックの役割

ヌックは、家族のつながりを感じながらも、個人の時間を楽しめる場所として、家の中で重要な役割を果たします。

リビングやダイニングといった家族が集まる空間の近くに設けることで、完全に孤立することなく、家族の気配を感じながらも自分だけの時間を過ごせる点が大きな魅力です。

例えば、リビングの一角にヌックがあれば、家族がテレビを見ている間に読書をしたり、お子さんが遊んだりといった使い方が可能です。

これにより、家族それぞれが心地よい距離感を保ちながら、個々の活動に集中したり、リラックスしたりする時間を持つことができ、家全体の居心地の良さを高めることにつながります。

ヌックのメリット

単なる機能的なスペースとしてだけでなく、日々の暮らしに豊かさをもたらすヌックの具体的な使い方や、インテリアの面でのメリットを見ていきましょう。

プライベート空間の確保

ヌックの大きなメリットの一つは、家の中にプライベートな空間を確保できることです。

個室のように完全に閉鎖された部屋ではなく、リビングなどの共有スペースの一角にゆるやかに区切られた空間として設けることで、家族の気配を感じながらも、自分だけの時間を楽しめます。

集中して読書をしたり、趣味に没頭したり、あるいはただ静かに過ごしたりと、日常のオンとオフを切り替える場所として活用できます。

スペースの有効活用

ヌックは、住宅の間取りの中でデッドスペースとなりがちな場所を有効活用できる点が魅力です。

例えば、リビングの一角や階段下など、普段は通り過ぎるだけの空間を、居心地の良いヌックに変えることが可能です。

限られた面積の家でも、こうしたスペースをヌックとして活用することで、無駄なく居住空間を広げられます。

収納スペースが不足している場合でも、ヌックに本棚を設けたり、収納を兼ねたベンチを設置したりすることで、デッドスペースを有効活用しながら収納量を増やすこともできます。

多様な使い道

ヌックは、そのこぢんまりとした空間を活かして、様々な使い道が可能です。

造作のデスクを設ければ、テレワークスペースや書斎、趣味の作業スペースとして集中できる場所になります。

リビングの一角につくられたヌックは、お子さんの遊び場や秘密基地として最適です。
リビングから見守れるので、小さなお子さんがいても安心です。

また、ベンチを設置して読書に集中するリーディングヌックにしたり、窓際に設けて外の景色を眺めながらくつろいだり、お昼寝スペースにしたりと、暮らしに合わせて柔軟に使い方を変えられます。

ヌックのデメリット

ヌックは家の中に居心地の良い空間をもたらしますが、設置する際にはいくつか考慮すべき点があります。

特に間取りや費用、そして実際の活用方法について、事前にしっかりと検討することが大切です。

設置費用がかかる

ヌックを設置する際には、追加の建築費用がかかります。

例えば、ベンチやデスクを造作したり、小上がりや間仕切りの壁を設けたりする場合、工事費や材料費が追加で発生します。

居心地の良いヌックにするためには、採光窓や照明、換気設備、場合によっては空調設備なども必要となり、それらの設備費用も考慮に入れる必要があります。

窓際にベンチを設置する比較的シンプルなヌックであれば手頃な価格で設置できる場合もありますが、規模やデザインによっては費用が高くなるため、住宅全体の予算とのバランスを考えて計画を進めることが重要です。

面積が必要になる

ヌックは「こぢんまりとした空間」が魅力ですが、それでも設置にはある程度の面積が必要です。

広すぎるとただの部屋になってしまい、ヌック本来の「おこもり感」が失われてしまう可能性があります。

一般的には1帖から3帖程度が目安とされており、このくらいの広さであれば圧迫感なく、落ち着いて過ごせる空間になるでしょう。

ただし、狭すぎると使い勝手が悪くなる可能性もあるため、最低でも1.5帖は確保することをおすすめします。

間取り全体の中でヌックにどれくらいのスペースを割くか、他の部屋や収納スペースとのバランスを考慮しながら、最適な広さを検討することが大切です。

使われない可能性がある

せっかくヌックを設置しても、使い方を明確にしないと活用されないデッドスペースになってしまう可能性があります。

特に、リビングなどの共有スペースに近い場所にヌックを設ける場合、家族の生活音が気になって集中できなかったり、落ち着けないと感じてしまうこともあります。

ヌックを計画する際には、「誰が・どんな目的で・どのように過ごしたいのか」を具体的にイメージしておくことが非常に重要です。

読書や趣味、キッズスペース、ワークスペースなど、用途によって必要な広さや家具、設備の有無も変わってきますので、事前に家族で話し合い、活用方法を明確にしておくことで、後悔のないヌックづくりにつながります。

ヌックの具体的な配置や使い方

ヌックは、家の中の様々な場所や、それぞれのライフスタイルに合わせて多様な設計が可能です。

ここでは、ヌックの具体的な設計例をいくつかご紹介し、その魅力と活用方法を、インテリアや間取り、使い方といった側面から見ていきましょう。

リビング内の一角

リビング内の一角にヌックを設けるのは、最も一般的な設計例の一つです。

広いリビングでは、一角に小上がりやベンチを設けてヌックをつくることで、空間に立体感が生まれ、のっぺりとした印象をなくし、メリハリのあるインテリアを演出できます。

これにより、家族と同じ空間にいながらも、ほどよい距離感でそれぞれの時間を楽しむことができます。

例えば、リビング横に設けられた小上がりのヌックは、家族の気配を感じつつも、秘密基地のようなおこもり感を味わえる特別な空間になります。
お昼寝スペースとしても活躍し、収納を兼ねた小上がりにすることも可能です。

また、リビングの壁をくり抜いたようなソファヌックは、ゆったりとくつろいだり、友人との会話を楽しんだりするスペースとしても利用できます。

階段下

階段下は、家の中でデッドスペースになりがちな場所ですが、ヌックとして活用することで、限られた間取りの中でも有効な空間を生み出すことができます。

天井が低いため、洞穴のような「おこもり感」を演出しやすく、秘密基地のような空間づくりに最適です。

また、本棚を設けてリーディングヌックにしたり、デスクを配置してワークスペースにしたりと、多様な使い方が可能です。

周りから見えにくい場所なので、壁紙で遊んだり、コレクションを飾ったりと、趣味を前面に出したインテリアを楽しむのもおすすめです。

読書スペース

読書スペースとしてのヌックは、静かで集中できる自分だけの部屋が欲しいと考える人に最適です。

窓際や階段下、リビングの一角など、様々な場所に設置可能で、本棚と組み合わせることで、機能的かつ居心地の良い空間をつくり出せます。

日当たりの良い窓辺に奥行きのある出窓のようなヌックを設置すれば、ベンチのように座ったり寝転んだりしながら、外の景色を眺めて読書を楽しむことができます。

造作家具としての本棚や、石膏ボードの壁に取り付けられるラックなどを活用することで、見た目もすっきりとしたインテリアを実現し、使い勝手の良い読書スペースに仕上げることが可能です。

秘密基地

秘密基地としてのヌックは、お子様の好奇心をかき立て、想像力を育む特別な部屋として人気があります。

例えば、階段下を活用して三角屋根の下にソファのあるヌックを造作すれば、絵本を読み聞かせたり、おもちゃを広げて遊んだりするのに最適な秘密基地が完成します。

「ヌックではおもちゃを散らかしてもOK」といったルールを設けることで、お子様は思い切り遊びに没頭でき、片付けもスムーズになります。

親の目から少し離れることでお子様の自立心を促し、想像力や集中力を高める効果も期待できるでしょう。

ヌック設計の重要事項

ヌックを成功させるためには、その設計段階でいくつかの重要なポイントを押さえておくことが大切です。

快適で使い勝手の良い空間をつくるために、間取りやインテリア、使い方に関するこれらの要素をしっかりと考慮しましょう。

目的を明確にする

ヌックの設置を検討する際には、まず「どのように過ごしたいか」という目的を明確にすることが最も重要です。

読書に集中したいのか、趣味の作業スペースとして使いたいのか、キッズスペースにしたいのかなど、その使い方によってヌックの広さや必要な家具、設備が変わってきます。

例えば、書斎として使うならデスクや本棚、照明が必要になりますし、休憩スペースならクッションや小物が重要になります。

目的を具体的にイメージしておくことで、設計がスムーズに進み、後で「こんなはずじゃなかった」と後悔するのを防ぐことができます。

異なる空間としての区別

ヌックを居心地の良い特別な部屋にするためには、他の空間とは異なる場所として視覚的に区別することが重要です。

完全に壁やドアで仕切るのではなく、ゆるやかにゾーニングすることで、開放感を保ちつつ、独立した雰囲気をつくり出します。

具体的には、ヌックだけ床材や壁の色を変えたり、小上がりやスキップフロアにして床の段差をつけたりする方法があります。

異なる色や素材を使用することで、視覚的にも別の空間として認識させられ、家全体にメリハリを与えることが可能です。

このようにデザインを工夫することで、圧迫感を出さずに、ヌックならではの独特の「おこもり感」を演出できます。

適切な広さの設定

ヌックを快適に使うためには、適切な広さの設定が非常に重要です。
広すぎると「おこもり感」が薄れてただの部屋になってしまい、狭すぎると使い勝手が悪くなってしまいます。

先述の通り、2帖前後であれば、座って作業をしたり、趣味の時間を楽しんだりするのに十分なスペースを確保しつつ、部屋全体のバランスを崩さずに設置できます。

理想のヌックの画像などを参考に、自分が心地よいと感じる広さを具体的にイメージし、間取りを検討する際に担当者と共有することで、最適なヌックを実現できるでしょう。

照明による雰囲気づくり

ヌックの居心地の良さを高める上で、照明計画も非常に重要な要素です。
適切な照明を取り入れることで、ヌックをより魅力的でリラックスできる空間に演出できます。

例えば、まぶしさのない間接照明は、ヌックを落ち着いた空間に仕上げる効果があります。
壁に取り付けるウォールライトやテーブルランプ、スタンドライトなど、柔らかな光で空間を包み込む照明を選ぶと良いでしょう。

また、光の量を調整できる調光機能付きの照明を複数取り入れることで、シーンに合わせて明るさを変え、読書や休憩など、様々な使い方に対応できる快適なインテリアを実現できます。

窓辺にヌックを設ける場合は、自然光と組み合わせることで、日中は明るく開放的な雰囲気、夜は落ち着いた雰囲気と、時間帯によって異なる表情を楽しめます。

収納スペースの確保

ヌックをきれいに保ち、快適に使うためには、適切な収納スペースの確保が欠かせません。
特に、読書スペースや趣味の空間として使う場合、本や道具などが散らかりがちになります。

ヌックの壁に造作棚を設置したり、小上がりの床下を収納スペースとして活用したりすることで、デッドスペースを無駄なく使い、収納力を高めることができます。

収納ボックスやシェルフを設置する際は、雑然とした印象を与えないよう、隠せるデザインや、ヌックのインテリアに馴染むものを選ぶと良いでしょう。

適材適所の収納計画とすることで、ヌックを常にすっきりとした状態に保ち、居心地の良い空間を維持できます。

ヌックの実例

ヌックは多様な間取りやインテリアスタイルに合わせて様々な実例があります。
ここでは実例を通して、ヌックがどのように活用されているのかを見ていきましょう。

猫ちゃんと日向ぼっこを楽しめるヌック

照明の水面のような陰影がアクセントになったヌック。
床下は収納スペースにしつつ、猫ちゃんが自由に出入りできるように通り穴もつけています。

キッズスペースとして遊べる階段下ヌック

おうち型の入口と四角いのぞき穴が、遊び心をくすぐる階段下のヌック。
ぬいぐるみやおもちゃが出しっぱなしになっていても気にならない、便利なキッズスペースとなりました。

木のぬくもりに包まれる書斎型ヌック

壁と天井にLDKと同じ床材を貼り、空間全体を木目で統一した書斎のような設計。
カウンタースペースは掘り込み式にして座りやすく仕上げ、仕事や読書に集中できるようになっています。

和室に設けたヌック

LDKに隣接する和室の中に設けたヌック。
小上がり部分を有効活用した引き出し収納もあり、リビング収納としても使いやすい空間になっています。

収納兼用の造作ベンチがあるヌック

座面がフタになっている収納兼用のベンチを設置したヌック。
間接照明や淡い色味のアクセントクロスなど、居心地の良さを感じられるコーディネートにこだわりました。

まとめ

ヌックは、家の中に居心地の良い「おこもり空間」をつくり出すことで、日々の暮らしを豊かにする魅力的なスペースです。

一方、設置費用や必要な面積、活用されない可能性といったデメリットも考慮し、目的を明確にして計画を進めることが重要です。

ハーバーハウスでは、経験豊富な設計スタッフ・インテリアコーディネーターが、お客様一人ひとりのご予算やご要望に合わせて最適なプランをご提案いたします。

ヌックに関するご相談も、ぜひお気軽にお申し付けください。

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