
ガルバリウム鋼板を外壁や屋根に使うメリット・デメリットとは?
近年、おしゃれな家の外壁や屋根でよく見かけるガルバリウム鋼板。
金属ならではのスタイリッシュな見た目が人気の素材です。
この記事では、ガルバリウム鋼板の基本的な特徴から、実際に家づくりに採用する上でのメリット、そして注意すべきデメリットについて詳しく解説します。
新築で外壁材や屋根材として検討している方だけでなく、リフォームでの貼り替えを検討している方も、ぜひ参考にしてみてください。

目次
- 【ガルバリウム鋼板とは?】
- 【ガルバリウム鋼板を建材に採用する5つのメリット】
・高い耐久性と防錆性
・軽量で建物への負担が少ない
・既存の壁や屋根の上から施工できる
・モダンなデザイン性
・凍害に強い優れた耐水性
- 【知っておきたいガルバリウム鋼板の4つのデメリット】
・初期費用が高くなる傾向がある
・傷やへこみがつきやすい
・断熱性や遮音性を確保しにくい
・サビが発生するリスクがある
- 【ガルバリウム鋼板の美しさを長持ちさせるメンテナンス方法】
・定期的な水洗い
・塗装メンテナンス
・貼り替え・葺き替え工事 - 【ガルバリウム鋼板の外壁リフォーム|主な2つの施工法】
・スタイリッシュな「縦葺き」
・デザイン性が高い「横葺き」 - 【まとめ】
ガルバリウム鋼板とは?

ガルバリウム鋼板とは、アルミニウム、亜鉛、シリコンの合金でメッキされた鋼板のことです。
このメッキ成分が、素材の耐久性を高める重要な役割を担っています。
正式名称は「55%アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板」と少し長いですが、金属サイディングの一種として「ガルバリウム」や「ガルバ」といった略称で呼ばれることが多いです。
金属の中でも比較的にサビにくく、非常に軽量な特徴を持つため、住宅の屋根や外壁に使われる人気の建材となり、住まいのデザイン性と機能性を両立させる素材として注目されています。
ガルバリウム鋼板を建材に採用する5つのメリット
ガルバリウム鋼板を外壁や屋根に採用するメリットは数多くあります。
ここでは、価格面だけでなく、耐久性やデザイン性など5つのメリットを詳しく見ていきます。
長期間の使用に耐える高い耐久性と防錆性

ガルバリウム鋼板の大きな魅力は、その非常に高い耐久性にあります。
表面を覆うメッキ層が鋼板本体を保護し、サビや腐食から守る働きをします。
このメッキは、アルミニウムの保護機能と亜鉛の防食機能の相乗効果によって、高い防錆性を実現しています。
そのため、一般的に使用される亜鉛めっき鋼板(トタン)と比較して、耐用年数が長いとされています。
絶対にサビないわけではありませんが、適切な環境下で正しく施工されていれば、長期間にわたって建物を保護し続けます。
製品によってはメーカーから長期の保証が付いているものもあり、その品質の高さがうかがえます。
地震に強い!軽量で建物への負担が少ない
ガルバリウム鋼板は非常に軽い素材であり、建物への負担を大幅に軽減できる点がメリットです。
一般的な外壁材である窯業系サイディングやモルタル壁と比較すると、その重さは約5分の1から10分の1程度しかありません。
建物の重量が軽いほど、地震の揺れによる影響を受けにくくなるため、耐震性の向上に貢献します。
ガルバリウム鋼板の厚みは、一般的に0.35mm〜0.4mm程度の規格品が多く、薄くて軽いにもかかわらず高い強度を持っています。
リフォームに最適!既存の壁や屋根の上から施工できる
ガルバリウム鋼板の軽量性は、リフォームの場面でもその真価を発揮します。
既存の外壁や屋根を撤去せずに、その上から新しいガルバリウム鋼板を被せて施工する「カバー工法」が可能なためです。
古い外壁材の解体・撤去費用や手間が不要になることで、工期の短縮とコスト削減が期待できます。
また、廃材の発生を抑えられるため、環境にも配慮したリフォーム方法と言えます。
カバー工法は、建物の断熱性や遮音性を向上させる効果も見込めるため、機能性を高めたいリフォームにも適しています。
ただし、下地の状態によっては施工できない場合もあるため、専門家による事前の診断が欠かせません。
洗練されたモダンな外観を実現するデザイン性

金属ならではのシャープでフラットな質感が、ガルバリウム鋼板のデザイン性を高めています。
シンプルでモダンな外観を実現できるため、おしゃれな注文住宅で特に人気です。
カラーバリエーションも豊富で、定番の黒やネイビー、スタイリッシュな白やシルバーなど、さまざまな色から選べます。
これにより、建物のコンセプトや周囲の景観に合わせた外観デザインが可能です。
また、表面に凹凸のあるデザインや、木目調などの加工が施された製品も登場しています。
金属素材であるためリサイクルも可能で、環境性能に優れている点も現代の家づくりにマッチしています。
その洗練された見た目は、他の建材と組み合わせることで、より個性的な表情を生み出します。
寒冷地でも安心!凍害に強い優れた耐水性
ガルバリウム鋼板は、水分を吸収しない金属製の素材であるため、非常に高い耐水性を誇ります。
この特性は、特に寒冷地において大きなメリットとなります。
窯業系サイディングなどの素材は、内部に浸透した水分が凍結と融解を繰り返すことで劣化する「凍害」を引き起こす可能性があります。
しかし、ガルバリウム鋼板自体は吸水しないため、凍害の心配がほとんどありません。
適切な施工で外壁と下地の間に通気層を設けることで、内部結露を防ぎ、建物の耐久性をさらに高めます。
ただし、部材の隙間を埋めるシーリング材の劣化には注意が必要ですが、素材自体の耐水性の高さは、厳しい気候条件下でも建物を長期間保護する上で重要な要素です。
知っておきたいガルバリウム鋼板の4つのデメリット
多くのメリットを持つガルバリウム鋼板ですが、採用する前に知っておくべきデメリットも存在します。
ここでは、主な4つのデメリットについて具体的に解説します。
初期費用は他の建材より高くなる傾向がある

ガルバリウム鋼板を外壁材として採用する場合、初期費用は窯業系サイディングなどの一般的な建材と比較して高くなる傾向があります。
材料費そのものが比較的高価であることに加え、専門的な施工技術が必要となるため、工事費用も割高になることが一因です。
しかし、この初期費用だけで判断するのは早計かもしれません。
ガルバリウム鋼板は耐久性が高く、メンテナンスの頻度が少なくて済むため、長期的に見ると塗装や補修にかかるランニングコストを抑えられる可能性があります。
新築やリフォームの際には、初期費用だけでなく、将来的なメンテナンス計画やトータルコストを総合的に比較検討することが重要です。
衝撃に弱く、傷やへこみがつきやすい
ガルバリウム鋼板は薄い金属の板であるため、外部からの衝撃に弱いという側面があります。
例えば、物が強く当たったり、硬いものがぶつかったりすると、表面に傷や凹みがつきやすいです。
一度ついてしまった深い傷や大きな凹みを完全に元通りに補修するのは難しく、部分的な交換が必要になる場合もあります。
特に、傷によって表面のメッキ層が剥がれてしまうと、そこから錆が発生する原因にもなりかねません。
施工時に切断した部分の鉄がサビるのを防ぐ処理が必要なように、傷ついた部分のケアも重要です。
駐車場や人通りの多い場所など、物が接触しやすい箇所への使用は慎重に検討する必要があります。
断熱性や遮音性を確保するには工夫が必要

ガルバリウム鋼板自体には、断熱性や遮音性はほとんど期待できません。
金属は熱を伝えやすい性質があるため、特に夏場は太陽光の熱で表面温度が上昇しやすく、室内の温度にも影響を与える可能性があります。
また、薄い板であるため、雨音などが内部に響きやすいという特性も持っています。
これらの弱点を補うためには、断熱材と一体になった製品を選んだり、壁の内部に十分な厚みの断熱材や防音材を施工したりする工夫が不可欠です。
近年では、表面に遮熱性能の高い塗料を施した製品も多く、夏の室温上昇を抑制する効果が期待できます。
快適な住環境を確保するためには、ガルバリウム鋼板と断熱・遮音対策をセットで考えることが求められます。
特定の条件下ではサビが発生するリスクがある
高い防錆性を持つガルバリウム鋼板ですが、特定の条件下ではサビが発生するリスクがあります。
代表的なものに、傷から発生する赤サビ、湿気が多い場所で発生する白い斑点状の白サビ、他の金属からサビが移るもらいサビなどがあります。
特に注意が必要なのは、沿岸地域での塩害や、道路・線路沿いでの鉄粉の付着です。
これらはメッキ層の劣化を早め、サビの原因となります。
また、庭の木から出る樹液や、木材と直接接触するような設置方法も腐食を促進させる可能性があります。
そのため、設置場所の環境を考慮し、定期的な点検や清掃を行うことが、サビの発生を防ぐ上で重要です。

ガルバリウム鋼板の美しさを長持ちさせるメンテナンス方法
ガルバリウム鋼板のスタイリッシュな外観を長く保つためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
耐久性が高い素材ですが、メンテが不要というわけではなく、環境や経年によって汚れや劣化は進行します。
基本的なお手入れは比較的簡単で、ご自身でできることもあります。
しかし、劣化のサインを見逃さず、適切な時期に専門家によるメンテナンスを行うことが、建物の寿命を延ばすことにつながります。
ここでは、主なメンテナンス方法を3つの段階に分けて解説します。
美観を保つための定期的な水洗い
ガルバリウム鋼板の美観を維持するための基本的なメンテナンスは、定期的な水洗いです。
特に、雨が当たりにくい軒下などは汚れが溜まりやすく、サビの原因となる物質が付着したままになりがちです。
年に1〜2回程度、ホースなどで水をかけて表面のホコリや汚れを洗い流すことをおすすめします。
汚れがひどい場合は、柔らかい布やスポンジに中性洗剤を薄めて使用し、優しく洗浄します。
洗浄後は洗剤成分が残らないよう、十分に水で洗い流してください。
金属タワシなどの硬いもので擦ると表面に傷がつき、サビの原因になるため避けるべきです。
苔やカビが発生した場合は、専用の除去剤を使用することもできますが、まずは基本的な水洗いを習慣づけることが重要です。
防水性や外観を維持するための塗装メンテナンス

ガルバリウム鋼板も経年によって表面の塗膜が劣化し、色あせや変色、チョーキングといった症状が現れます。
これは塗り替えのサインです。
塗装メンテナンスを行うことで、劣化した塗膜を保護し、防水性を回復させるとともに、新築時のような美しい外観を取り戻せます。
一般的に、塗装の目安は10〜20年程度とされていますが、立地環境によって劣化の進行度は異なります。
ガルバリウム鋼板に塗装する際は、専用の下塗り塗料を使用するなど、素材に適した塗料と工法を選ぶことが重要です。
適切なタイミングで塗り替えを行うことは、ガルバリウム鋼板本体を長持ちさせる上で非常に効果的なメンテナンスと言えます。
劣化が進行した場合の貼り替え・葺き替え工事
表面的な劣化だけでなく、ガルバリウム鋼板自体に穴があいたり、変形したり、サビの進行が深刻な場合には、塗装では対応できず、貼り替えや葺き替えといった大規模な工事が必要になります。
外壁の場合は「貼り替え」、屋根の場合は「葺(ふ)き替え」と呼ばれ、既存のガルバリウム鋼板を一度撤去して、新しいものに交換する工事です。
この工事は、下地の状態も確認できるため、内部の腐食など、見えない部分の問題も同時に解決できるメリットがあります。
費用や工期はかかりますが、建物の防水性や耐久性を根本から回復させることが可能です。
定期的な点検を怠り、劣化を放置すると、最終的にこのような大掛かりな工事が必要になる可能性が高まります。

ガルバリウム鋼板の外壁リフォーム|主な2つの施工法
ガルバリウム鋼板を外壁材として使用するリフォームでは、主に「カバー工法」と「貼り替え工法」の2種類があります。
既存の壁がトタンや窯業系サイディングなど、どのような外壁材であっても対応可能です。
どちらの工法を選ぶかは、既存の壁の状態や予算、求める性能によって変わってきます。
また、ガルバリウム鋼板の持つシャープな印象は、板金の貼り方によっても大きく異なります。
ここでは、代表的な2つの貼り方「縦葺き」と「横葺き」について、その特徴と仕上がりの違いを解説します。
スタイリッシュな仕上がりの「縦葺き」

縦葺き(縦貼り)は、ガルバリウム鋼板を地面から屋根に向かって縦方向に貼っていく施工方法です。
縦のラインが強調されるため、建物をシャープでスタイリッシュに見せる効果があります。
この工法の大きな特徴は、水切れが良いことです。
雨水が縦の継ぎ目に沿ってスムーズに流れ落ちるため、汚れがたまりにくく、防水性に優れています。
また、板と板の間の継ぎ目にコーキング(シーリング)を使用しない製品が多く、シーリングの劣化によるメンテナンスの手間を軽減できる点もメリットです。
シンプルでモダンな外観を好む場合に適しており、ガルバリウム鋼板の代表的な施工方法として広く採用されています。
デザイン性が高い「横葺き」

横葺き(横貼り)は、ガルバリウム鋼板を地面と平行に、横方向に貼っていく施工方法です。
横のラインが建物に落ち着きと安定感を与え、縦貼りとは異なる柔らかな印象を生み出します。
横葺きのデザインは種類が豊富で、フラットなものから、凹凸をつけて陰影を強調したものまであり、個性的な外観を演出しやすいのが魅力です。
これにより、洋風から和モダンまで、幅広いデザインテイストに対応できます。
ただし、縦貼りと比較すると、板の継ぎ目や段差に雨水やホコリが溜まりやすい傾向があるため、その点を考慮する必要があります。
デザイン性を重視したい場合に選ばれることが多い施工方法です。
まとめ
ガルバリウム鋼板は、高い耐久性と優れたデザイン性で人気の建材ですが、メリットとデメリットの両方を理解することが重要です。
軽量で耐震性に優れ、リフォームにも適している一方、衝撃に弱く、断熱・遮音性には工夫が求められます。
また、サビのリスクを避けるためには、適切な施工と定期的なメンテナンスが不可欠です。
施工方法ひとつで外観の印象が大きく変わり、ネジの打ち方など細かな部分が耐久性に影響します。
初期費用だけでなく、将来のメンテナンス費用まで含めた長期的な視点で検討し、信頼できる施工業者に相談することで、ガルバリウム鋼板の魅力を最大限に活かした住まいづくりが実現します。
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