長期優良住宅の税制優遇とは?メリット・デメリットを解説
長期優良住宅は、長く快適に住み続けられる性能を持つ家として国に認められた住宅です。
この認定を受けると、さまざまな税制優遇が受けられるため、節税を考えている方にとって大きなメリットがあります。
この記事では、長期優良住宅で受けられる税金の優遇措置や、税金以外のメリット、そして申請前に知っておきたいデメリットまで、分かりやすく解説していきます。
目次
- 【そもそも長期優良住宅とは?国が定める認定基準を解説】
- 【長期優良住宅で受けられる5つの税制優遇措置】
・【所得税】住宅ローン控除の借入限度額が引き上げられる
・【所得税】ローンを利用しない場合は投資型減税が適用される
・【固定資産税】新築戸建ての減額期間が5年間に延長される
・【登録免許税】不動産登記にかかる税率が引き下げられる
・【不動産取得税】課税標準からの控除額が増額される
・【贈与税】親などからの資金援助における非課税限度額が拡大する
- 【税金だけじゃない!長期優良住宅の2つのメリット】
・住宅ローン「フラット35」で金利の引き下げが受けられる
・地震保険料が割引される耐震等級が証明できる
- 【長期優良住宅を建てる前に知っておきたいデメリット・注意点】
・認定基準を満たすための建築コストが増加する
・認定の申請手続きに時間と費用がかかる
・建築後の定期的なメンテナンスが義務付けられる
- 【税制優遇を受けるための申請方法】
- 【まとめ】
【そもそも長期優良住宅とは?国が定める認定基準を解説】

長期優良住宅とは、簡単に言うと「長期間にわたって安心して快適に暮らせる、質の高い家」のことです。
国が定めた厳しい基準をクリアすることで認定されます。
この基準には、大きな地震が来ても倒壊しにくい「耐震性」、夏は涼しく冬は暖かい家にするための「省エネルギー性」、構造や設備を維持管理しやすい「維持管理・更新の容易性」などが含まれます。
これらの基準を満たすことで、世代を超えて住み継げる資産価値の高い住まいが実現します。
新築の戸建てだけでなく、中古住宅やリフォームによって基準を満たす場合でも、認定を受けられる可能性があります。
【長期優良住宅で受けられる5つの税制優遇措置】

長期優良住宅の大きな魅力は、なんといっても税金がお得になることです。
住宅ローン控除や固定資産税といった、家づくりに関わるさまざまな税金が軽くなる優遇措置が用意されています。
これらの税制優遇を上手に活用することで、家計の負担を大きく減らすことが可能です。
また、国や自治体が実施している補助金の対象となる場合もあり、金銭的なメリットは非常に大きいと言えます。
ここでは、具体的にどのような税制優遇を受けられるのか、5つのポイントに分けて詳しく見ていきましょう。

【所得税】住宅ローン控除の借入限度額が引き上げられる
住宅ローンを利用してマイホームを購入する際に受けられる住宅ローン控除は、年末時点でのローン残高の0.7%が所得税から控除される制度です。
長期優良住宅の場合、この控除の対象となる借入限度額が一般の住宅よりも高く設定されています。
<例:2025年に入居する場合>
一般の新築住宅の借入限度額は3,000万円である一方、長期優良住宅では原則4,500万円まで引き上げられます。
さらに子育て世帯または若者夫婦世帯の場合は、5,000万円まで引き上げられます。
これにより、年間の最大控除額も増えるため、結果的に手元に戻ってくるお金が多くなる可能性があります。
毎年の税負担を軽減できる、とても大きなメリットです。
【所得税】ローンを利用しない場合は投資型減税が適用される

住宅ローンを利用せず、自己資金で長期優良住宅を建てる方にも所得税の優遇措置があります。
それが「投資型減税」です。
これは、長期優良住宅の性能を強化するためにかかった費用(掛かり増し費用)の10%相当額を、その年の所得税から直接控除できる制度です。
控除額には上限がありますが、ローンを組まない方でもしっかり節税の恩恵を受けられるのが嬉しいポイントです。
住宅ローン控除との併用はできませんが、現金での購入を検討している場合は、この投資型減税が大きなメリットになるため、ぜひ覚えておきましょう。
【固定資産税】新築戸建ての減額期間が5年間に延長される
家を所有すると毎年かかってくる固定資産税も、長期優良住宅なら負担を軽くできます。
新築住宅は、建てられてから一定期間、固定資産税が2分の1に減額される特例がありますが、この期間が通常よりも長くなるのです。
一般的な新築一戸建ての場合、減額期間は3年間ですが、長期優良住宅の認定を受けると5年間に延長されます。
毎年支払う税金だからこそ、この2年間の延長は長期的に見ると大きな節約につながる、見逃せないメリットです。
【登録免許税】不動産登記にかかる税率が引き下げられる

家を建てたり購入したりすると、その土地や建物が誰のものであるかを公的に記録するため「不動産登記」が必要です。
この手続きの際に「登録免許税」という税金がかかりますが、長期優良住宅はこの税率も優遇されます。
例えば、新築住宅の所有権保存登記の場合、一般住宅の税率が0.15%であるのに対し、長期優良住宅は0.1%に引き下げられます。
また、土地や中古住宅を購入した際の「所有権移転登記」についても税率が低くなります。
家づくりの初期にかかる費用を少しでも抑えられるのは、嬉しいポイントです。
【不動産取得税】課税標準からの控除額が増額される
不動産取得税は、土地や家屋などを購入したときに一度だけかかる税金です。
この不動産取得税を計算する際、建物の評価額から一定額を控除できる仕組みがあります。
長期優良住宅の場合、この控除額が一般の住宅よりも大きく設定されています。
具体的には、一般住宅の控除額が1,200万円であるのに対し、長期優良住宅は1,300万円に増額されます。
控除額が100万円増えることで、課税対象となる金額が減り、結果的に納める税額を抑えることができます。
これも、住宅取得時の初期費用を軽減する助けになります。
【贈与税】親などからの資金援助における非課税限度額が拡大する
親や祖父母から家づくりのための資金援助を受ける場合、「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」という制度を利用できます。
これは、一定額までの贈与であれば贈与税がかからないというものです。
長期優良住宅のような質の高い住宅を取得する場合、この非課税の限度額が一般の住宅よりも拡大されます。
具体的には、省エネ等住宅に該当するため非課税限度額が1,000万円となり、一般住宅の500万円と比べて大きな差があります。
親からの資金援助を考えている方にとっては、非常に大きなメリットと言える制度です。
【税金だけじゃない!長期優良住宅の2つのメリット】

長期優良住宅の魅力は、税金の優遇だけにとどまりません。
住宅ローンそのものの負担を軽くする制度や、万が一の災害に備える保険料がお得になるなど、家計に嬉しいメリットが他にもあります。
性能の高い住宅だからこそ受けられるこれらの恩恵は、長期的な視点で見ると大きな差となって現れます。
ここでは、税制優遇以外に知っておきたい、長期優良住宅ならではの2つの金銭的メリットについてご紹介します。
住宅ローン「フラット35」で金利の引き下げが受けられる
長期固定金利の住宅ローンとして知られる「フラット35」には、質の高い住宅を取得する場合に金利が一定期間引き下げられる「フラット35S」という制度があります。
長期優良住宅は、この制度の技術基準を満たしているため、金利の優遇を受けることが可能です。金利が引き下げられると、毎月のローン返済額が少なくなり、総返済額も抑えることができます。
住宅ローンは長期間にわたって支払い続けるものなので、わずかな金利差でも最終的な負担額は大きく変わってきます。
この金利引き下げは、家計にとって非常に大きなメリットです。
地震保険料が割引される耐震等級が証明できる

長期優良住宅の認定基準には、高い耐震性が求められます。
具体的には、建築基準法で定められた最高ランクである「耐震等級3」、または「耐震等級2」を満たす必要があります。
【関連記事】耐震等級3でも危険?軟弱地盤が地震時に与える影響を徹底解説!
この高い耐震性が証明されることで、地震保険料の割引を受けられるのです。適用される耐震等級に応じて、保険料が10%から最大50%も割引になります。
日本は地震が多い国だからこそ、万が一の備えは欠かせません。
家の安全性を高めながら、同時に保険料という固定費を削減できるのは、安心と経済性を両立できる大きなメリットと言えます。
【長期優良住宅を建てる前に知っておきたいデメリット・注意点】

ここまで長期優良住宅の多くのメリットをご紹介してきましたが、もちろん良いことばかりではありません。
認定を受けるためには、一般的な住宅よりもコストがかかったり、手間が必要になったりする側面もあります。
家づくりで後悔しないためには、これらのデメリットや注意点もしっかりと理解した上で、自分たちの計画に合っているかを判断することが大切です。
ここでは、長期優良住宅を建てる前に知っておくべき3つのポイントを解説します。
認定基準を満たすための建築コストが増加する
長期優良住宅の認定を受けるには、国が定める厳しい基準をクリアする必要があります。
例えば、高い耐震性を確保するための構造強化や、優れた断熱性能を持つ建材の使用などが求められるため、一般的な住宅に比べて建築コストが高くなる傾向があります。
初期費用は割高になりますが、税制優遇や補助金、さらには住み始めてからの光熱費削減などを考慮すると、長期的にはお得になる可能性も十分に考えられます。
事前に建築会社に相談し、初期費用と将来的なメリットを比較する計算やシミュレーションを行い、総合的に判断することが重要です。
認定の申請手続きに時間と費用がかかる

長期優良住宅の認定を受けるためには、建築工事を始める前に、所管行政庁へ申請手続きを行う必要があります。
この申請には、設計図や計算書など、基準を満たしていることを証明するための多くの必要書類を準備しなくてはなりません。
通常、この複雑な申請手続きは建築を依頼するハウスメーカーや設計事務所が代行しますが、そのための手数料として数十万円程度の費用がかかります。
また、審査にも一定の時間がかかるため、家づくりのスケジュールに余裕を持たせておくことも大切です。
申請方法や必要書類の準備など、事前に住宅会社とよく相談しておきましょう。
建築後の定期的なメンテナンスが義務付けられる
長期優良住宅は、その高い性能を長期間にわたって維持するために、建築後の定期的なメンテナンスが法律で義務付けられています。
住宅の所有者は、作成された維持保全計画に基づいて、定められた期間ごとに点検や修繕を行わなければなりません。
また、いつどのようなメンテナンスを行ったかを「住宅履歴情報」として記録・保存し、必要に応じて行政からの報告の求めに応じる義務もあります。
家の長寿命化には不可欠なことですが、計画的なメンテナンス費用がかかることや、管理の手間が発生することは事前に理解しておく必要があります。
【税制優遇を受けるための申請方法】

長期優良住宅の税制優遇を受けるための第一歩は、住宅の認定を受けることです。
この申請手続きは専門的な知識が必要なため、個人で行うのは非常に難しく、基本的には建築を依頼するハウスメーカーや工務店、設計事務所などを通じて進めることになります。
大まかな流れとしては、まず建築プランを固め、その計画が長期優良住宅の基準を満たしているか、「登録住宅性能評価機関」という第三者機関に審査を依頼します。
そこで適合証が交付された後、必要な書類をそろえて市区町村などの所管行政庁に認定申請を行い、認定通知書を受け取ってから建築工事が始まります。
まずは信頼できるパートナーとなる住宅会社を見つけ、相談することから始めましょう。
【まとめ】
長期優良住宅は、認定基準を満たすための建築コストの増加や、申請手続きの手間、建築後のメンテナンス義務といった注意点があります。
しかし、それらを上回る大きなメリットとして、住宅ローン控除の拡充や固定資産税の減額期間延長といった手厚い税制優遇が用意されています。
さらに、フラット35の金利引き下げや地震保険料の割引など、税金以外の金銭的な恩恵も受けられます。
何より、国が定めた基準をクリアした高性能な住宅であるため、光熱費を抑えながら快適で安全な暮らしを長く続けられるという本質的な価値があります。
これらのメリット・デメリットを総合的に比較し、ご自身の家づくり計画に合っているか検討してみてください。
ハーバーハウスでは、長期優良住宅や各種税制優遇制度に関するご相談も無料で承っております。
また、充実したサポート体制や、基準以上の高断熱・高気密・高耐震などをご提案することも可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。



